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第一章(1/1)

吾輩(わがはい)は猫(ねこ)である。名前(なまえ)はまだ無(ぶ)い。

在下乃一只猫。哈?名字?还没有起。

どこで生(き)れたかとんと見当(けんとう)がつかぬ。何(なに)でも薄暗(うすぐら)いじめじめした所(とこ)でニャーニャー泣いていた事(こと)だけは記憶(きおく)している。

啥?你要问我哪里出生?我可是真的一点都不知道。唯一记得的事情就是:我在一个微暗潮湿的地方,“喵喵”地哭。

吾輩(わがはい)はここで始(はじ)めて人間(にんげん)というものを見(けん)た。

此乃在下见到人类的初始。

しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番(いちばん)獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕(つかま)えて煮(に)て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。

而且,我后来听闻,他是一名寄人篱下的书生,属于人类中最为凶残的种族。这个书生时常逮捕我辈,然后便煮熟吃了。不过,我当时年幼无知,并没有什么想法,也不觉得害怕。

ただ彼の掌(てのひら)に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始(みはじめ)であろう。

只是,我被他放在掌上,原本好好的,不知何时,忽然“嗖”地一下把我给提起来,我心里不免觉得有些发慌。等我在他手心里站稳脚跟,看见书生的脸——这就是人类所说的初次相见吧!

この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶(やかん)だ。その後(ご)猫にもだいぶ逢(あ)ったがこんな片輪(かたわ)には一度も出会(でく)わした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。

当时我就觉得这家伙的脸怪怪的,记忆犹新的感觉残存至今。第一眼看去,本应该使用毛毛来装饰的面孔,光溜溜的,就像个水壶。在这个后院里,与我不期而遇的猫有很多,但像他那样难看的脸,我可一次都没有相逢。不仅如此,他的脸部中心还太突出了。

そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙(けむり)を吹く。どうも咽(む)せぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草(たばこ)というものである事はようやくこの頃知った。

而且,有时,还会从最中心的洞穴里喷出烟雾。真呛得慌,算是服了。后来才知道:这是人类正在吸食烟草。

この書生の掌の裏(うち)でしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗(むやみ)に眼が廻る。胸が悪くなる。到底(とうてい)助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。

在这个书生掌心里,我正舒舒服服地趴着的时候,还不到一会儿,我竟然发现自己正在非常快速地运动起来了。一时间,我分不清楚究竟是书生在动,还是我自己在动——反正眼花缭乱。我的胸口也开始恶心起来了。我心想:到底是怎么都救不了自己了,这下完蛋啦!接着,又听到“咕咚”一声,摔得我两眼直冒金星。

それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。

虽然在那之前的事情,我都还记得,但是在那之后的事情,我无论如何都想不起来了。

ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一疋(ぴき)も見えぬ。肝心(かんじん)の母親さえ姿を隠してしまった。その上今(いま)までの所とは違って無暗(むやみ)に明るい。眼を明いていられぬくらいだ。はてな何でも容子(ようす)がおかしいと、のそのそ這(は)い出して見ると非常に痛い。

蓦然回首,定睛一看——书生不见了,我的众多兄弟也一只都看不见了——于是,我心情变得糟糕。连我放在心肝上的母亲,也不知去向了。这个地方,同我从前的所在之处,有很大的不同,一片光明,没有黑暗的角落。简直让我无法睁开眼。哪里都没有容身之处,当我试着慢慢往外爬出去的时候,全身都在痛,非常痛。

吾輩は藁(わら)の上から急に笹原の中へ棄てられたのである。

这原是在下,自稻草堆中坠落竹林丛内的缘故。

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